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豊橋技術科学大学 情報知能工学系  
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論文の書き方

1. 表題

 実験の内容を的確に表す題目をつけるべきである.また,長くても20字以内が望ましい.大まかな研究対象と,実際に何を調べたかを組み合わせるのが望ましい.
例:ミュラーリヤー錯視における矢羽の角度の効果
「AにおけるBの効果」などが,定番です.

2. 序論(問題と目的)

 今回のような実験演習では,問題や目的は指導教員によって強制的に与えられるわけであるが,レポートとしては,当該実験の位置づけや研究の意義を考えて,研究の目的を自然に導くような序論を構成して欲しい.

 研究の理由・意義,先行研究,問題と性質と範囲などは,それら自身をすべてセクションとして必要とするわけではない.これらを念頭において,課題(テーマ)に沿ったセクションにすることが望まれる.なぜなら,研究の理由の中に,先行研究の紹介がどうしても必要な場合も多いなど,これらは分離できるものではないからである.

 各セクションの見出し(小タイトル)とその本文は別物である.本文だけで意味の通じるものにしなければならない.
悪い例:
仮説
ミュラー・リヤー錯視は,その錯視の知識を有することによって効果がなくなる
ましな例:
仮説
「ミュラー・リヤー錯視は,その錯視の知識を有することによって効果がなくなる」という仮説をたて,以下の実験でその検証を試みた.

 (全体を通して言えることだが)だらだらした文章を書かない.不必要な助詞を挟まない.余計な語尾をつけない.冷たい文章を心がける.敬語・口語は使用しない.

3. 方法

 (全体を通して言えることだが)箇条書きにしたり,体言止めにしたり,図説参考書のように書いたりしない.論文は,基本的には「文章」である.適切で簡潔な文章ですべてを記述しなければならない.箇条書きの情報の羅列は,メモでしかなく,論文とはいえない.インストラクション・ペーパー(プリント)は,単なる実験演習での説明のための道具であり,それを丸写ししてはいけない.

悪い例:
方法
独立変数 --- 蛇の種類(しまへび,あおへび)
従属変数 --- どれだけ蛇が嫌いかを5段階評定で答える.
やや良い例:
方法
提示する蛇の種類(しまへび,あおへび)を独立変数として操作し,それに対して,従属変数としての被験者の蛇への嫌悪度を,どれだけ蛇が嫌いかの5段階評定によって測定した.

 被験者・装置等の説明は,当該実験に一般的な意味で関係のあることのみでよい.たとえば,被験者であるならば,視力に対する言及が必要であり,一方,名前・身長・出身高校などは必要ない.

 (全体を通して言えることだが)上記のような理由で,図表は文章とは別と考える.よって,図表は,通し番号をつけ,タイトルとその簡単な説明(キャプション)を必ずつけなければならない.また,図表で説明した内容は,図表がなくても理解できる程度には,本文に文章で記されていなければならない.

 方法は,この論文を書いた時点では終了したものであり,その時点でのある事実でしかないのだから,一般には「過去形」で記すべきである.

 (全体を通して言えることだが)課題にあわせて,適切なセクションを構成しなければならない.たとえば,
方法
被験者
刺激
計画
手続き
というセクションの分け方が妥当であろう.実験内容に応じて,または投稿先の雑誌の規定に従って,適切な構成をするべきである.

4. 結果
 結果もまた,終了したひとつの事実であるので,「過去形」で記すのが一般的である.

 図表のみを記すのが結果ではない.図表をつけると同時に,文章によって(図表なしでも主要な知見は十分理解できる程度に)記さねばならない.

 図の引用の仕方(既に述べたように,図と文章は別物であり,文章がメインで,それに付属する図を,文章中に引用すると考える):たとえば,「鋏角の絶対値が大きくなるにしたがって錯視量の絶対値も増加した(図2)」のように,適切な説明のあと,それを補足する図を括弧の中に引用する.

 一方,文章中に数字を列挙して示すのは,わかりにくいだけである.科学とは,抽象化であり,単なるデータ収集ではない.データを抽象化し,誰もがすぐに理解できるようにしなければならない.

 よって,データは適度に抽象化して示さねばならない.たとえば,折れ線グラフや棒グラフとして呈示するのは効果的である.一般にグラフにできるものは表にはしない.グラフを記した場合には,表はいらない.もちろん,生データは,全く必要ない.

 図と表は区別する.いずれも,タイトルとキャプションをつける.

 結果では,事実のみを記し,推論は述べない.

5. 考察
 考察の最初に結果を簡単にまとめる.次に,考察をおこなう.結果だけで終わってはいけない.

 自分で考えたことのみならず,先行研究との関連をもう一度検討する.たとえば,先行研究で提案されている理論によって説明できる結果なのかを検討する.

 仮説や最初の思いこみに一致しない結果が得られたからといって,すべてを仮想的な「ミス,他の要因」のせいにしないで,他の仮説の可能性も考える.その上で,さらなる実験・研究の可能性を議論する.

 結果(あるいは当該実験によって行われた事実と得られた事実),すでに周知・証明済みの真理としての事実,あるいは執筆者の推論・議論によって,文章(特に文末)の書き方を変えねばならない.つまり,その文章がこれら3種類のどれかがはっきりわかるように書くべきである.結果は,単純な過去形になるであろう.あるいは,「~~がわかった.」等と記述する.先行研究から明らかな真実・事実・理論は,むしろ現在形が妥当であろう.そして,「ノストラダムス(1999)によれば,~~.」や「~~~である(ノストラダムス, 1999).」というように出典を明記するべきである.推論・議論については,「~~と思われる.」や「~~ということが示唆された.」などと記述する方がよい.